ワールドウイスキーアワードで世界一に輝くなど、日本での人気はもちろん、世界的にも人気のあるウイスキーのイチローズモルト。
創業者の肥土伊知郎さんが埼玉県秩父市に秩父蒸留所を構え、イチローズモルトを製造しています。
ここでは、そんなイチローズモルトの歴史から蒸留所見学ツアーのオープンデイまで、詳しく紹介してきます。
この記事の目次
イチローズモルトとは!?歴史と主な受賞歴
イチローズモルト(Ichiro’s Malt)とは、埼玉県秩父市にある株式会社ベンチャーウイスキーで作られているウイスキーです。
創業者の肥土伊知郎(あくといちろう)さんの名前を冠したウイスキーです。
この後、イチローズモルトの歴史を詳しく紹介していきます。
イチローズモルトを作った肥土伊知郎さん
肥土伊知郎さんは、1965年に埼玉県秩父市生まれ。大学で醸造学を専攻し、大学卒業後にサントリーに就職。
その後、祖父が創業者で父親が経営していた東亜酒造へ入社するが、経営危機により会社が売却される。
売却先の会社がウイスキーを取り扱わないことを決定した為、東亜酒造「羽生蒸溜所」のウイスキー原酒を肥土伊知郎さんが引き取り、原酒を福島県の「笹の川酒造」に預かってもらう。
2004年秩父市にて株式会社ベンチャーウイスキーを設立(秩父蒸留所の完成は3年後)。
肥土伊知郎さんは、技術指導者として「笹の川酒造」に通い、2005年に「笹の川酒造」にあるウイスキーを最初の「イチローズモルト」として発売。
2006年に羽生蒸留所のイチローズモルト「キングオブダイヤモンズ」が、イギリスのウイスキー専門誌「ウイスキーマガジン」にてプレミアム・ジャパニーズウイスキー部門ゴールドメダル(最高得点)を受賞。
また、2007年から5年連続で、「ワールドウイスキーアワード(WWA)」のジャパニーズ部門で世界最優秀賞を受賞。注目を集め、世界にイチローズモルトの愛好家が増えていきます。
この間に、肥土伊知郎さんはスコットランドへの視察でウイスキー作りを学びながら、秩父蒸留所の準備を進めます。
株式会社ベンチャーウイスキー秩父蒸留所
2007年に秩父蒸留所が完成し、ウイスキー作りの免許が交付された2008年2月から秩父蒸留所でウイスキー作りを開始します。
そして、2012年アメリカのウイスキー・アドボケート・アワードにて、秩父蒸溜所のシングルモルトウイスキーが「ジャパニーズウイスキー・オブ・ザ・イヤー」を受賞。
2017年には、ワールド・ウイスキー・アワードにて「イチローズモルト 秩父ウイスキー祭2017」が「シングルカスクシングルモルトウイスキー部門」で世界一になりました。
イチローズモルトの主な受賞歴
主な受賞歴
- 2006年 ウイスキー専門誌『ウイスキーマガジン』ジャパニーズモルト特集
- 2007年~2013年 『ワールドウイスキーアワード』
- 2012年 ウイスキー専門誌『ウイスキーアドボケート』
- 2017年 ワールドウイスキーアワード
- 2018年 ワールドウイスキーアワード
- 2019年 ワールドウイスキーアワード
- 2020年 ワールドウイスキーアワード
- 2021年 ワールドウイスキーアワード ※5年連続
2006年 ウイスキー専門誌『ウイスキーマガジン』ジャパニーズモルト特集
イチローズ・モルトのカードシリーズ「キング オブ ダイヤモンズ」が、プレミアム・ジャパニーズウイスキー部門のゴールドメダル(最高得点)獲得。
2007年~2013年 『ワールドウイスキーアワード』
ジャパニーズ部門 世界最優秀賞。
2012年 ウイスキー専門誌『ウイスキーアドボケート』
秩父蒸留所の最初のイチローズモルト「秩父 ザ・ファースト」が、ジャパニーズ・ウイスキー・オブ・ザ・イヤー受賞。
2017年 ワールドウイスキーアワード2017
「イチローズモルト 秩父ウイスキー祭2017」が「シングルカスクシングルモルトウイスキー部門」で世界最高賞を受賞。
2018年 ワールドウイスキーアワード2018
「イチローズ モルト&グレーン リミテッドエディション ワールドブレンデッドウイスキー」が、「ワールドベスト・ブレンデッドウイスキー・リミテッドリリース部門」で世界最高賞を受賞。
2019年 ワールドウイスキーアワード2019
「イチローズ モルト&グレーン ジャパニーズブレンデッドウイスキー リミテッドエディション2019」が、「ワールドベスト・ブレンデッドウイスキー・リミテッドリリース部門」で世界最高賞を受賞。
2020年 ワールドウイスキーアワード2020
「イチローズモルト&グレーン ジャパニーズブレンデッドウイスキー リミテッドエディション2020」が、4年連続で「ワールドベスト・ブレンデッドウイスキー・リミテッドリリース部門」で世界最高賞を受賞。
2021年 ワールドウイスキーアワード2021
「イチローズモルト&グレーン ジャパニーズブレンデッドウイスキー リミテッドエディション2021」が、5年連続で「ワールドベスト・ブレンデッドウイスキー・リミテッドリリース部門」で世界最高賞を受賞。
イチローズモルトの販売店と値段
秩父でイチローズモルトを販売している店と通販での購入
イチローズモルトは秩父の主な酒屋では取り扱っていますが、売り切れていることが多いです。その為、Amazonや楽天などの通販を利用した方が確実に手に入ります。
ただし、限定品などは値段が高騰してしまっていますので注意してください。
また、お酒を扱っている秩父の飲食店では、イチローズモルトを飲むことができる店が多いので、秩父を訪れた際には確認してみてください。
イチローズモルトだけ気軽に飲みたい場合は、西武秩父駅直結の祭の湯のお土産コーナーに入っている「酒匠屋台」の立ち飲みコーナーがおすすめです。
イチローズモルトの量り売りをしてくれる「麻屋商店」
秩父ウイスキー祭りが行われる秩父神社から歩いて2~3分ほどの所にある、秩父の酒屋「麻屋商店」。
麻屋商店ではウイスキーを50ml単位で販売してくれます。量り売りのラインナップの中にはイチローズモルトがあります。
ウイスキーの量り売りをしてくれる秩父の酒屋『麻屋商店』。イチローズモルトも量り売りしてくれますよ!#麻屋 #麻屋商店 #秩父麻屋 #whisky #japanesewhisky #ichirosmalt #イチローズモルト #ウイスキー #秩父 #chichibu #funchichibu #ファンチチブ pic.twitter.com/O9lAHVuYvL
— 秩父観光情報Fun! Chichibuファンチチブ (@FunChichibu) 2019年1月4日
ただし、イチローズモルトは在庫が必ずあるわけではなく、量り売りのみ場合もあります。
量り売りや在庫状況等の最新情報は、麻屋商店のTwitterでお知らせしてくれています。
麻屋商店 | |
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住所 |
埼玉県秩父市本町3-6 |
TEL | 0494-22-2555 |
営業時間 | 9:00~18:30 |
定休日 | 日曜日 |
ウイスキー量り売り | 火〜土曜日13時より |
麻屋商店Twitter |
現行販売品のイチローズモルトの種類
イチローズモルト&グレーン ホワイトラベル
秩父で熟成された様々な個性豊かなモルトやグレーン原酒を、バランス良くヴァッティング(ブレンド)。
ロック、水割り、ソーダ割りどれでも美味しく飲めるオールラウンドなウイスキー。
イチローズモルト ダブルディスティラリーズ
羽生蒸留所と秩父蒸留所の原酒をヴァッティング(ブレンド)して、2つの蒸留所の良さを最大限引き出したダブルディスティラリーズ。
2009年のワールドウイスキーアワードで、「ベストジャパニーズ・ブレンデッドモルト」に選ばれました。
イチローズモルト エムダブリューアール(MWR ミズナラ・ウッド・リザーブ)
羽生蒸留所をメインとし、様々なモルト原酒をミズナラの木桶で熟成させたエムダブリューアール(MWR ミズナラ・ウッド・リザーブ)。
2010年のワールドウイスキーアワードにて、「ベストジャパニーズ・ブレンデッドモルト」に選ばれました。
イチローズモルト ワインウッドリザーブ
秩父蒸留所の原酒をメインに数種類をブレンドし、赤ワインを熟成させた空き樽で後熟させたワインウッドリザーブ。
2011年のワールドウイスキーアワードにて、「ベストジャパニーズ・ブレンデッドモルト」に選ばれました。
イチローズモルト&グレーン リミテッドエディション ワールドブレンデッドウイスキー
2018年2月発売の新しいイチローズモルト。
ワールド・ウイスキー・アワード(WWA)2018で、「ワールドベスト・ブレンデッドウイスキー・リミテッドリリース部門」で世界最高賞を受賞しました。
入手困難な限定品などのイチローズモルト
イチローズモルトは、羽生蒸留所のものを含めると、全種類で約100種類くらいあります。
初期の頃に発売されたものや限定品はかなりの高価格になってしまっています。また、ほとんどが売り切れで手に入らないものも多いです。
イチローズモルトのケーキ・ジェラート・チョコレート
秩父にはイチローズモルトを使用したケーキ・ジェラート・チョコレートなども販売されています。
イチローズモルトプレミアムウイスキーケーキ
こちらは西武秩父駅にある祭の湯のちちぶみやげ市などで販売されている、イチローズモルトを使用したウイスキーケーキ。口に入れた瞬間からウィスキーの香りが広がります。
イチローズモルトのジェラート
こちらは秩父神社の隣にあるジェラート専門店サンドルチェのイチローズモルトを使用したジェラート。アルール分は飛ばしてありますが、ウイスキーの香りが鼻に抜けて美味しいです。
イチローズモルトのチョコレート
最後は道の駅果樹公園あしがくぼで販売されている、イチローズモルトを使用したチョコレート。イチローズモルトの香りとチョコの相性が抜群です。
見学ツアー「秩父蒸溜所オープンデイ」
毎年2月に開催される秩父ウイスキー祭りの前日には、年1回のイチローズモルト秩父蒸留所オープンデイが開催されます。通常は一般には公開されていない秩父蒸留所の内部を見学することができます。
ただし、定員20人✕6回の合計120人しか参加する事ができないので、チケット入手がとても困難です。チケットはネットでの申し込みですが、今年はチケット発売の5分後にはすべての回が完売していました。
来年参加されたい方は、公式サイトなどで発売日をしっかりチェックし、発売時間と同時に申し込むことをおすすめします。
ツアー参加者は秩父神社に集合して、バスで秩父蒸留所に移動します。秩父神社からは20分くらいで到着します。
私たちの回は、イチローズモルトのブランドアンバサダーをつとめる吉川由美さんが担当してくれました。
スコットランドの蒸留所で働いたり、バーテンダーをやっていたなどの経歴の持ち主で、吉川さん自身も蒸留所見学が大好きとのこと。一つ一つのどんなに細かい質問にも丁寧に解説してくれて、とても分かりやすかったです。
ウイスキーを作る工程順に見学していきます。まずは原料となる大麦についての解説。
実際に麦芽も試食もさせていただきました。
こちらの赤い機械が大麦麦芽を粉砕するミル。
続いて蒸留所の中に入って、糖化槽、ミズナラの発酵槽、蒸留器などを順番に解説してもらいながら見ていきます。
こちらは麦汁を作る糖化槽。
ミズナラの発酵槽は、内部を見せていただけました。
麦汁と一緒に10kgの酵母を発酵槽に入れるのは4日間程度。香り付けの為ではなく、乳酸菌による発酵を目的として行われています。ナラの木を好む乳酸菌が独特の香りを生み出すとのことでした。
発酵槽にミズナラを使っているのは秩父蒸留所だけで、最近スコットランドの蒸留所がポルトガルのナラの木を使い始めたそうです。ナラの木を使っているのは現状世界に2つだけで、秩父蒸留所の特徴のひとつです。
こちらが発酵槽の内部、いい香りがします。
続いて蒸留を行うポットスチル。銅製で、左で1回目、右側で2回目の蒸留を行います。
蒸留したスピリッツの香りを、実際に比べさせていただきました。
最後に熟成庫です。写真では明るく見えますが、実際には薄暗くひんやりしています。ここ以外の場所にも貯蔵庫があり、現在全部で5つの貯蔵庫があるそうです。
熟成庫を出ると、肥土伊知郎さんがいらっしゃって、イチローズモルトを試飲させていただきました。お話しさせていただくと、とても物腰の柔らかい方で、参加者一人ずつ丁寧に話したり写真を撮っていました。
試飲させていただいたのは、こちらの5種類とサンプルボトルです。
バスが出発する最後まで見送っていただいた、約1時間があっという間の秩父蒸留所見学ツアーでした。
秩父蒸留所では一般の見学や販売は行われていないので、年に一度のオープンデイにぜひ参加してみてください。
秩父蒸留所 | |
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創業者 | 肥土伊知郎 |
創業年 | 2004年 |
蒸溜所設立年 | 2007年 |
蒸留所稼働開始 | 2008年2月(ウイスキー作りの免許が交付される) |
ポットスチルの数 | 2基(銅製でスコットランドのフォーサイス社製) |
ウォッシュバックの数 | 8基 (ミズナラ) |
住所 | 〒368-0067 埼玉県秩父市みどりが丘49 |
備考 | 見学ツアーはプロ向けのみで、一般見学は1年に1回「秩父ウイスキー祭り」の時のみ可能。 |
公式Facebook | 秩父蒸溜所 (Chichibu distillery) |
まとめ
イチローズモルトの歴史や秩父蒸留所見学ツアーを紹介してきました。
秩父ウイスキー祭りの肥土伊知郎さんのセミナーでも説明されていましたが、秩父産の大麦やミズナラを使ったイチローズモルト作りに取り組んでいるとのことです。
色々と新しい取り組みに挑戦しているイチローズモルトにこれからも期待したいです。
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